16 残酷な暴君の時と争うには

 

だが何ゆえに君はもっと効力のある方法で

この残酷な暴君の時に戦いを挑まないのか、

君の衰退から身を守るのに

私の不毛の詩よりもっと恵まれた手段を用いないのか?

 

今君は人生の絶好調にあり、

数多の処女庭園はまだ開墾されておらず、

貞淑な気持ちで君に生き写しの花を産みたいと願っている、

それは君の絵姿よりもっと君に似ている。

 

子孫が復活させるその命は、

当代の画工や私のつたない詩では

内面の価値や外見の美しさを

生きたままの君の姿として人の目に作り出せない。

 

  君が身を委ねることこそ君自身を守ることであり、

  君自身の優れた技によって描くことで生きなければならない。

 

 

【私の鑑賞】

今、美と若さの絶頂期にある君も、永遠に続くことはない。

時は残酷に、そして暴力的に、若さと美を奪うから。

画家や詩人が君の美しさや若さを留めておこうと筆を揮うが、その姿を伝えるのに君の子どもにはとうてい敵わない。

君の美しさと若さを伝えることができるのは、君が結婚して君の似姿である子どもを得ることに優るものはない、それなのになぜ、君はその有効な手段を選ぼうとしないのか。