ああ、君が永遠のものだったら!だが、愛する人よ、君は
やがてはこの世の人ではなくなる。
君はその来るべき終りに備えて
君の美しい似姿をほかの誰かに伝えるべきだ。
君が借用しているその美しさを
終わらせてはならない。そうすれば、君は
君自身が消えた後もなお、今のままの君、
君の美しい姿を、君の子どもたちが受け継げば。
そんなに美しい家を朽ちるに任せていいものか、
手を尽くして管理すれば、
冬の日の嵐の突風からや、
死の永遠の寒気による不毛の猛威から守れるというのに。
愛する人よ、放蕩者だけだ、そんなことをするのは。
君には父がいた、君の息子にもそう言わせたまえ。
【私の鑑賞】
詩人は、ここではじめて青年に「愛する人」と呼びかけます。
そして、青年がいつまでも今のままの姿を保つことを願います。
しかし、それは叶わぬ夢。青年の美しさは仮(借り)のもの。
死からは何ものも逃れることはできません。
その借りを青年の子どもという形で返すことで、青年は、その美を保つことができます。
立派な家も管理してこそ保たれます。
青年の美も、結婚して子どもを残すことでその美が保たれるのです。