時を告げる時計の音を数え、
輝かしかった日が醜悪な夜に沈むのを見るとき、
菫の花が盛りを過ぎ、
黒い巻き毛が銀白におおわれるのを見るとき、
高い木立の葉が散って丸裸となり、
暑さから家畜の群れを守る天蓋であった木々の葉も、
夏の青々とした草もみな束にして縛られ、
白い剛毛の髭のように手押し車で運ばれていくのを見るとき、
そんなとき私は君の美しさのことを思いやる、
君の行く末は「時」の荒れ地、
やさしさも、美しさも失せ、
他の美しいものが成長するのを見ながら、同じ速さで死ぬのだと。
なにものも「時」の大鎌から逃れることはできない、
「時」が君を連れ去るとき、「時」に立ち向かえるのは、子どもだけ。
【私の鑑賞】
時が移り過ぎるのをみるとき、私は君のことを考えずにはいられない。
なにものも「時」の手から逃れることはできないのだと。
優しい夏が過ぎれば、君の美しさもやがては失われてしまう。
それをだれも止めることはできない。
「時」から美の崩壊を守ることができるのは、子どもをおいてほかにないのだ。
(それなのに君は子どもを作ろうとしないのか)