12 時の大鎌に立ち向かうのは

 

時を告げる時計の音を数え、

輝かしかった日が醜悪な夜に沈むのを見るとき、

菫の花が盛りを過ぎ、

黒い巻き毛が銀白におおわれるのを見るとき、

 

高い木立の葉が散って丸裸となり、

暑さから家畜の群れを守る天蓋であった木々の葉も、

夏の青々とした草もみな束にして縛られ、

白い剛毛の髭のように手押し車で運ばれていくのを見るとき、

 

そんなとき私は君の美しさのことを思いやる、

君の行く末は「時」の荒れ地、

やさしさも、美しさも失せ、

他の美しいものが成長するのを見ながら、同じ速さで死ぬのだと。

  なにものも「時」の大鎌から逃れることはできない、

「時」が君を連れ去るとき、「時」に立ち向かえるのは、子どもだけ。

 

 

【私の鑑賞】

時が移り過ぎるのをみるとき、私は君のことを考えずにはいられない。

なにものも「時」の手から逃れることはできないのだと。

優しい夏が過ぎれば、君の美しさもやがては失われてしまう。

それをだれも止めることはできない。

「時」から美の崩壊を守ることができるのは、子どもをおいてほかにないのだ。

(それなのに君は子どもを作ろうとしないのか)