11 老いてなお君の美しさが成長する

 

君が衰える同じ早さで、君は子どもの中で成長する、

君はその子の分身だから。

君が若くして与えたその瑞々しい血を

わが子だと呼ぶことができる、君が若さを失くしても。

 

かくして、智と、美と、子孫は生き延びる。

それがなければ、愚劣と、老いと、やがては冷たい死。

皆が君と同じ考えを持てば、この世は終わり、

六十年もすれば世界は滅びてしまうだろう。

 

自然が子孫繁栄のために作ったものではないもの、

がさつで、醜く、粗野なものは、子のないまま絶えさせるがいい。

自然は最上のものを与えたものに、さらなる力を与える、

君はその気前のよい贈物を豊かに育むべきだ。

 

  自然が君を自分の印章のために彫り刻んだその意図は、

  君の複製を作るためであって、その原型を絶やすことではない。

 

 

【私の鑑賞】

君が子どもを持てば、君がどんなに早く衰えても、君の美しさはそれに劣らぬ速さで、君の子どものなかで成長します。

君が与えたその新鮮な血を、君の子どもと呼ぶことさえできれば、君の青春は永遠です。

君に子どもがいなければ、叡智も、美も果て、あとは冷たい死が待つのみです。

君のいないこの世は果ててしまうのです。

君がこの世に生まれたのは、美を終わらせるためでなく、存続させるためです。

美の原型を保ち、それを保存するために、君の複製を作るのが自然の定めなのです。