9 共有財産 ジョン・ダンの部屋

 

我々は、善を愛し、悪を憎まなくてはならない。

なぜなら、悪は悪であり、善は常に善であるから。

だが、どちらともいえないものもある。

それは憎むこともできないし、愛すこともできない、

そういうときには、次から次に試してみれば、

愛すべきか、憎むべきかが分かる。

賢明なる自然の女神が、最初に

善い女と悪い女と決めて作っておれば、

ある女は憎み、ある女は愛すことができるのだが、

彼女はどちらともつかずに作ったので、

我々は愛すことも、憎むことも決めかねる。

残る手段はただ一つ、男全員が女全員を試してみることだ。

 

女が善いものであれば、見て分かるはず、

善は、緑と同じように、見て分かるもの、

だれの目にも悪は悪として自ずと知れる。

女が悪であれば、長続きはしない、

悪は我が身を滅ぼし、他をも滅ぼす。

だから、女は非難にも称賛にも値しない。

 

だが、女は果物と同じように、我々の自由にできる、

味見するだけで済ますことも、食いつくすこともできる、

全部残して置くこともでき、思いのままである。

恋人を変えるのも、果物の種類を変えるようなもの、

果肉を食べ終わって、

皮を捨てない馬鹿はいない。

 

 

【訳注】

原題:’The Community’

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩