わたしに経帷子を着せる人が誰であれ、
わたしの腕を飾る
この繊細な髪の房を傷つけたり、詮索したりしないでほしい。
神秘の象徴に触れてはならない。
それは、わたしの魂の化身であり、
わたしの魂が天に昇って行くとき、
これに支配を任せ、
魂の領土である四肢五体を腐敗から守る副大王。
わたしの脳から出て体の隅々まで行きわたる
神経の糸でさえ、
体の各部を結び、五体を一つにまとめることができる。
ならば天に向かって伸び、力と技を備えたこの髪は、
わたしより優れた脳から生まれ出たもの、
さらに優れたことができるはず。彼女がこの髪の輪で、
死刑を宣告され、
手枷を嵌められた囚人のように、わたしを扱うつもりでなければ。
彼女の意図がどうであれ、それをわたしと一緒に埋葬してくれ。
わたしは愛の
殉教者。だから、偶像崇拝者を産み出すやも知れぬ、
もしも、これらの遺品が他人の手に渡ったなら。
謙虚な気持で、
一つの魂が成し得るすべてをそれに与えたので、
不敵な心で、
つれないあなたの仕打ちに、あなたの体の一部を葬ろう。
【訳注】
原題:’The Funeral’
グリアソンによれば、「弔い」、「花」、「桜草」、「聖遺物」の詩は、ダンのパトロンであったマグダレン・ハーバート夫人にあてたものであろうという。ハーバート夫人は、詩人であるエドワード・ハーバート卿とジョージ・ハーバート兄弟の母であり、1596年に未亡人となって、1599年から1601年までオックスフォードに住み、後、ロンドンに移って、1608年に再婚した。彼女はダンより7歳年上であった。
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