インドの秘宝を探し求めて出ていく
大胆な勇気、あるいは知識の楽園を求める
賢明な判断力を持つ君が、
先ごろ学問の道という広大な海に船出したが、
たゆまぬ努力を続けることを、
他の航海者がするように軽蔑してはならない、
そして時には小さな入り江に寄港し、
ヘリコンの泉(注:1)で新鮮な水を汲む賢明さを忘れぬように。
僕はサイレン(注:2)のように甘い声で君を誘わない。僕の声は
耳障りだから。それに君の所にいる分離主義者(注:3)のように、
見込みのある賢そうな者を仲間に引き入れることもしない。
だが、君に輝かしい詩の才能の煌めきを見るので、
僕は、それを煽る燃料を持ち合わせていないが、
この言葉の嵐で君の才能の火を焚きつけたいのだ。
【訳注】
S.B. 氏は、クリストファー・ブルックの弟のサムエル・ブルック(?1,575‐1631)。1590年代にケンブリッジで学び、1599年に聖職に就いた。ダンとアン・モアの秘密結婚の式を通り行った罪で、兄やダンと共に投獄された。この詩はその内容から1590年代初めの作と思われる。
注:1 「ヘリコンの泉」は、アポロとミューズが住むギリシアのヘリコン山のふもとにある二つの泉で、その水を飲むと詩の霊感が得られるという。
注:2 「サイレン」は、美しい歌声で船人を誘い寄せて難破させたという半女半鳥の海の精。
注:3 「君の所にいる分離主義者」は、ケンブリッジ大学の分離派
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