ベッドフォード伯爵夫人へ
奥方様、
願わくば、あなたの飾り棚を私の墓とし、
私が魂の次に愛する私の名声のために、
私の魂の次に最も幸福な場所を用意し、
この最後の葬式の書類を収めて下さらんことを。
他の人は遺言で形身を残しますが、私は
死ぬことで、あなたから形身を乞い願います。
すべての人へ
私の運命と、私の選択が、世の慣習を破るのは、
口がきけなくなると、石に語らせようとするのが世の常であっても、
私は自分が何者であったかを石に語らせるつもりがないからだ。
しかし、私の墓の中にあなた方は今の自分たちの姿を見る。
いや、あなた方はまだそれほどよくない、死が我々を
ここで成熟させるまでは、我々は頑固な土塊(つちくれ)である。
両親が我々を土となし、魂が我々を
ガラスへと高める。黄金となるため、我々はここで寝る。
我々の魂の中で罪が育ち、太っている間に、
我々の魂は蛆虫に食われる屍となる。
こうして我々は奇跡的に自らを破壊する。
ここでは肉体はこれより少ない奇跡で、
天のラッパが彼らを墓場から吐き出すと、
天に昇って行くことができるという特権を享受する。
このことを聞いてあなた方が改めてくれれば、私も改められる。
私が死ぬことで、あなた方の役に立つのだ。
私の心も落ち着き、死への心の準備も整って、
今際(いまわ)の際(きわ)に詩を書くことができたのだ。
【訳注】
この詩が最初に出版されたのは1635年であるが、この詩の題、所属すべき場所についてはテクストによって異なり、「ベッドフォード伯爵夫人へ」と「すべての人へ」を別々の詩として扱うものもある。グリアソンの『ジョン・ダン詩集』(1929年)では、『挽歌と葬送歌』のあとに『墓碑銘』としてこの二つを収録している。A. J. スミスはこの詩を『書簡詩』の中に収めている。
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