33  自分自身の墓碑銘 ダンの部屋トップへ戻る

 

ベッドフォード伯爵夫人へ

 

奥方様、

願わくば、あなたの飾り棚を私の墓とし、

私が魂の次に愛する私の名声のために、

私の魂の次に最も幸福な場所を用意し、

この最後の葬式の書類を収めて下さらんことを。

他の人は遺言で形身を残しますが、私は

死ぬことで、あなたから形身を乞い願います。

 

 

すべての人へ

 

私の運命と、私の選択が、世の慣習を破るのは、

口がきけなくなると、石に語らせようとするのが世の常であっても、

私は自分が何者であったかを石に語らせるつもりがないからだ。

しかし、私の墓の中にあなた方は今の自分たちの姿を見る。

いや、あなた方はまだそれほどよくない、死が我々を

ここで成熟させるまでは、我々は頑固な土塊(つちくれ)である。

両親が我々を土となし、魂が我々を

ガラスへと高める。黄金となるため、我々はここで寝る。

我々の魂の中で罪が育ち、太っている間に、

我々の魂は蛆虫に食われる屍となる。

こうして我々は奇跡的に自らを破壊する。

ここでは肉体はこれより少ない奇跡で、

天のラッパが彼らを墓場から吐き出すと、

天に昇って行くことができるという特権を享受する。

このことを聞いてあなた方が改めてくれれば、私も改められる。

私が死ぬことで、あなた方の役に立つのだ。

私の心も落ち着き、死への心の準備も整って、

今際(いまわ)の際(きわ)に詩を書くことができたのだ。

 

【訳注】

この詩が最初に出版されたのは1635年であるが、この詩の題、所属すべき場所についてはテクストによって異なり、「ベッドフォード伯爵夫人へ」と「すべての人へ」を別々の詩として扱うものもある。グリアソンの『ジョン・ダン詩集』(1929年)では、『挽歌と葬送歌』のあとに『墓碑銘』としてこの二つを収録している。A. J. スミスはこの詩を『書簡詩』の中に収めている。

 

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ジョン・ダン全詩集訳 書簡詩