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―フランスで書き始めた未完の詩―

 

私が死んで埋葬されていても、

(あなたのなかで生きているので)私の墓は宮廷として十分です。

私は自分でそう思うたびに、

目を覚ましてはいくたびも死から甦るのです。

あなたから受けた厚意への感謝の気持ちが、

私を香気で満たし、私は朽ちることがありません。

時は今、復活祭。時は今、春たけなわ、

成長と、告白の時、

あなたから影響を受けた私の思いが、

詩となって芽生え、告白の思いを募らせるのです。

まず告白しなければならないのは、あなたの蓄えを

他人に貸し与え、あなたの財産を湯水のごとく

使い果たしたのは、私が徳や美の何たるかを

知らなかったからです。徳や美はあなたのなかで

成長するのであり、他の女性のなかに徳や美が

輝いていると言うべきではなかったのに(言ってしまったのです)。

次に私がしなければならない告白は、

あなたへの称賛が過剰過ぎるという過ちです。

その半分でも多過ぎて、

あなたの真心は、顔を赤面させるでしょう。

次に告白しなければならないのは、それでもなお悔い改めていないことです。

というのは、私は最初の過ちを悔い改めることもできないまま、私の過ちで、

はるかに身分が低く、あなたのことを読むことができない人たちが、

あなたより劣る女性への称賛で十分に学ぶことができるからです、

原典から学ぶことはできなくても、複写から、

以下欠落。

 

 

【訳注】

1611年11月から1612年4月にかけてダンはロバート・ドルリー卿とフランスに旅行しており、この詩はその時に書かれたもの。ダンはドルリー卿の娘の死の2回忌に記念の詩を書いており、その詩のなかで亡くなった少女への過剰な賛美で批判を受けている。

 

 

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ジョン・ダン全詩集訳 書簡詩