君は征服するために行ったのか。その結果
自分自身を失い、君のなかにある最も大切なもの、
思いやりの友情は、そんなに早く死ぬものなのか。
国家の利益など僕には何の足しにもならない、
アイルランドのために君の愛情を失うぐらいなら。
死を許すほうがまだましだ(死は、刈り取りはしないが、
僕たちの多くの友人を拾い集めては連れ去る)、
君の目覚めた心が昏睡状態の犠牲となるくらいなら。
弾丸、沼地、短剣に、
肉体を運命のなすままに任せるがよい。
病気になる前に、若死にする方がよい。
死ぬ前に科料を払えば逮捕を免れる。
君の魂を(最初は神の恵みを一身に受け、
曲がったランビキを通って、つまり
学校や宮廷で蒸留されて、活性化される)、
アイルランドの怠惰に屈しさせてはならない。
僕は紙を多く浪費する苦心の手紙を
求めているのでもなければ、不実な配達屋や、
透視術を恐れるような手紙を求めているのではない。
頭からくるものではなく、心からの手紙を求めているのだ。
【訳注】
この詩はヘンリー・ウォットンの備忘録のなかにあって、1912年、グリアソンによって初めて刊行された。1599年半ばにエセックス伯のアイルランド軍との戦闘に参加したヘンリー・ウォットンに宛てて書かれたもの。この詩のなかでダンは戦場のウォットンからの返事がないことへの不満を述べている。「ヒベルニア」はアイルランドのラテン語名。
ページトップへ
|