エレジー 3 心変わり ジョン・ダンの部屋トップへ戻る

 

君の誓約、信仰、それに善行が

君の愛を封印し、それを解くことができないとしても、

また、君が背き、その背信行為すら、

きみの愛を確かなものとしても、それでもなお僕は君が心配だ。

女は学芸のようなもの、誰に強いられることもなく、

求めるものには誰にも開かれているが、知られなければ一文の値打もない。

僕が鳥を捕え、それを逃がしてやっても、

他の誰かが同じ手を使って

その同じ鳥を捕まえるだろう。それと同じように、

女は男のために作られたもの、僕や彼だけのものではない。

狐や山羊など、動物はすべてみな好きなように心変わりする。

動物よりもっと好色で、ずる賢く、奔放な女が、

一人の男に縛られたりするものか、それに自然は

女が男より無為に我慢できるように拵えはしなかったではないか。

女は男にとって足枷、そして女は気まま。男は

ガレー船の鎖に繋がれた囚人であっても、ガレー船自体は自由である。

一枚の田畑をもつ者はありったけの穀物の種をそこに播くが、

その地に播いた以上の実りを許すだろう。

ドナウ河は海に注ぎ、

海はライン河、ヴォルガ河、ポー河を受け入れる。

自然の性(さが)が君の愛す自由を与えた。

だが、君は自由と僕を共に愛すことができるのか。

似た者夫婦というが、それならそれで

似たもの同志愛すため、僕も心変わりしなければならないのか。

君の憎しみを受けようとも、僕はそれを憎む。むしろ僕は

彼女の心変わりを好きなだけ許し、

持論を通すのではなく、自説を曲げて、

一人の女を愛すことも、すべての女を愛すこともしない。

一つの国に住むのは幽閉であるが、

あらゆる国を巡るのは野蛮な行為だ。

水も一か所に留まればやがて悪臭を放つ。

広い海に注げばいっそうひどくなる。

だが、一つの岸にキスをして去り、

振り返ることもなく、別の岸にキスをすれば、

その水は最も清らかである。変化こそ

音楽や、喜び、命、永遠を育てるものである。

 

 

 
 
   
ジョン・ダン全詩集訳 エレジー