愚かな女だ、夫が死ねばよいと願いながらも、
夫の嫉妬深さに文句を言っている。
毒で膨れあがった夫は臨終の床につき、
その身体は瘡蓋に覆われ、
荒く、短い息をつく、それはまるで、
軽快な四分音符を演奏する音楽士のようであり、
今にもむかつく嘔吐で、
彼の魂を一つの地獄から新しい地獄へと送り出そうとしている。
彼の貧しい親族たちの嘆きの声も耳には届かない。
彼らは空涙を流しては莫大な遺産をねだるが、
おまえは泣きもせず、喜び、浮かれる。
明日になれば自由になれる奴隷のように。
だが、彼を死に至らしめた心の苦しみである嫉妬の毒を、
飢えたように呑みこむのを見て、おまえは涙を流す。
ああ、彼に感謝せよ、彼は思いやりがあるので、
僕らを疑って親切に警告をしてくれた。
僕らは以前のように、馬鹿にしたような謎の言葉で、
彼の醜さを大っぴらに軽蔑するのはよそう。
食卓で席を共にする時にも、
言葉や、触れ合うことで、みだらな素振りをするのをやめよう。
彼が御馳走をたらふく食って腹を膨らませて、
籐椅子に座って動きもとれず、鼾をかいている時にも、
彼の寝床を二度と奪う真似はすまい。
また、以前のように、彼の家で接吻したり、戯れるのもやめよう。
今こそ、多くの危険が見える。ここは
彼の領土、彼の城、彼の教区なのだ。
だが、邪まな者たちが、
亡命してよその国に行き、そこで王様の悪口を言ったり、
贋金を鋳造したりしようとするように、
30僕らも他の家でやれば、何も恐れることもない。
そこでなら僕らは彼の家庭の方針、
彼の愚かな策略、金で雇ったスパイを嘲笑うことができる。
テムズ河の南岸の住人たちが
ロンドン市長を笑ったり、ドイツ人が法皇の傲慢を嘲笑うように。
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