12 呪い ジョン・ダンの部屋

 

俺の恋人が誰であるか、推測(あて)ようとしたり、考えてみたり、

知っていると夢見る奴は、この呪いで萎えてしまうがいい。

なけなしの財布をはたいて、

その気もない女を口説いてみても

女は、身も心もおまえの恋敵に身を任せてしまうのが関の山。

ほかの女から馬鹿にされる女から、馬鹿にされるがいいのだ。

女に振られる心配と、ものにしても恥になるだけだと、心は真二つ、

だから女に誓ったことは、人前では否定するがよい。 

 

こんな男に誰がした、と考えるような奴は、

悲嘆が狂気となり、怒りの発作が痛風となるがいい。

良心のかけらもないくせに、

体面ばかりを気にするような奴は、

罪に苦しまずとも、女のことでくよくよするがいいのだ。

そんな奴は、若いうちから貧乏して長く苦しんで腐るがいい、

当てにしていた土地財産も、近親相姦で産ませた子に、

取られてしまうがいいのだ。

 

謀反を夢見ては、自分がやったと信じ込み、

白状して、縛り首、

その理由は記録にない。

自分の子ではないかも知れぬ息子たちが、

相続するのは汚名のほかには何もない。

老いては世話になろうと当てにして、いつまでも

居候たちを食わせて、養い育てたあげく、

割礼してパンを乞う始末となるがいいのだ。

 

すべての継母の毒気、賭博師の遺恨、

暴君と臣下の間のいがみ合い、

植物、鉱物、動物、鳥類、魚が

産み出すありとあらゆる害毒、

預言者、詩人が口にするすべての呪詛、それに

俺がこの細目に付け足したすべての呪いが、

この男に降りかかれ。それが女であれば、

自然の女神がとっくの昔、俺に勝る呪いをかけているはずだ。

 

 

【訳注】

原題:’The Curse’。復讐の女神への呪い、あるいは祈りは、昔の詩によく見られる形式。

 

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩