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第1章 レフ・トルストイ作 『壺のアリョーシャ』
第2章 ニコライ・レスコーフ作 『かもじの美術家』
ちょっと早い、"サロンdeお芝居"の「クリスマスの物語」。
2015年に阿佐ヶ谷ワークショップで始まったこのシリーズも10周年を迎え、公演回数としては今回で12回目となる。上演作品を見てみると、ほとんどが世間にあまり知られていない作品が多いことに気づく。
今回も例外ではなく、作家名は世界的に有名でも、『壺のアリョーシャ』を知っている人、あるいは読んだことのある人は少ないのではないだろうか。
続くニコライ・レスコーフに至っては、僕はその名前すら知らなかった。しかし、レスコーフはロシアの国民作家として有名で、かのチェーホフも読んでいたという。
そのレスコーフに至っては、過去にも、第3回公演(2017年)で『真珠の首飾り』、第5回(18年)にも同作品を再演し、第6回(19年)には今回と同じ『かもじの美術家』を上演している。
そこから見える"サロンdeお芝居"は、ロシア文学を主体にして、隠れた珠玉の文芸作品に光を与えているように思われる。
最初の『壺のアリョーシャ』は、今回の8人の出演者によるリーディング劇。「作者」役を大ベテランの澤柳廸子、主人公のアリョーシャを今回が初舞台という小具崇志、その恋人、女中のウスチーニャを深沢史麻などを中心にして演読される。
続く『かもじの美術家』では、物語の進行役と劇中の神父の役を高橋正彦、女主人公のリュボーフィを森秋子の二人のベテラン俳優、リュボーフィの娘時代の役を若い小春千乃、その恋人役でかもじ師のアルカージイを小具崇志、 縞服の女ドロシーダを澤柳廸子、カミョンスキー伯爵を橋本大輝、伯爵の弟ピーセムスキーを西村正嗣、マダム・シャルロッタに深沢史麻、村人を今回が初舞台の鈴木敬大。大ベテランの高齢俳優と、若手と、中堅の俳優によるバランスの取れた出演者陣で、今回の出演者が全員そろっての劇。
演出者の島川聖一郎は、今どきに「文芸作品の上演など・・・(古臭いだろうけれど)」と謙遜の言であったが、こういうお芝居は逆に今どき大変貴重なものだと感じ、感謝して楽しく観(魅)させてもらった。
今回感銘を受けた一つに、阿佐ヶ谷ワークショップが見事な小劇場の場となっていたことである。周囲の舞台背景は土足用敷いた白い敷物と調和して素敵な舞台空間に変貌していた。
演読の演技では、大ベテランの森秋子の相変わらずの若々しい容貌と発声、そして、今回、楽しく拝見させてもらったお一人として、深沢史麻の台詞力とサービス精神旺盛の演技力であった。
そして何よりも大きな感銘は、今回の作品を読んでみたいという気にさせる力があったということ。
昔、ラジオで名作の朗読劇を聞いて、その作品を実際に自分でも読んだ経験がいくつもあるが、そのような力をもつ上演であった。
上演時間は、『壺のアリョーシャ』が20分、10分間の休憩後、『かもじの美術家』は60分。
出演者は、全員で9名。
上演台本/島川聖一郎
10月31日(金)16時開演、阿佐ヶ谷ワークショップ、チケット:2000円
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