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カズプロダクションで観る『ジプシー』は今回で三度目となる。
最初は、2020年12月、二度目が昨年2月。観劇記録を見直してみると、三度とも出演して同じ役をしているのは謎の家族(ジプシー)の祖母役の芳尾孝子だけで、祖父トク役を前回に続いて蕃藤松五郎が演じており、あとは大幅に入れ替わっているだけでなく、ほとんどの役を女優陣が占めているのが今回の特徴で、16名の出演者のうち男優はわずか4名、工事現場の登場人物4人もすべて女優が演じ、ジプシーの親子の息子兄弟も女優が演じる。
大半がダブルキャストで、月組と太陽組の2バージョン、自分はゲネプロの月組を観劇。
物語そのものはファンタジーじみたものであるが、面白おかしみの中に、社会現象や風刺的な苦みを加えた、楽しませてくれる劇である。
見どころは、工事現場の責任者カンさんとその仲間たちの芝居じみたセリフのやり取りの場や、カンさんと謎の家族の兄妹との会話の場面で、なかでもこの兄妹との会話で、謎の家族が実は、このマンションが建つ前にあった雑木林に棲んでいた「鳥」であったことを見破る話は、何度見ても感動させるものがある。
謎の家族の子供たちが、どうして自分たちが「鳥」だと分かるのかと聞くと、カンさんは自分も鳥だったからだろ答える。
彼の言う「鳥」の意味は、工事現場を渡り歩いている自分を「渡り鳥」に託した比喩であるのだが、そこにちょっぴり哀愁感を感じさせる。そのカンさんを演じたのは、月組では希久地沙和。
男優が少ないせいもあってか、謎の家族の祖父役を演じた蕃藤松五郎が印象に残った。マンションを買った若い夫婦には、こめまると鹿目真紀(彼女は太陽組でも同役で出演)。
上演時間は、85分。
原作/横内謙介、台本構成・演出/カズ
9月30日(日)14時開演、赤坂・A-root akasaka、料金(ゲネプロ)4500円、全席自由
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