高木登 観劇日記2021年別館 目次ページへ
    鹿鳴家英楽と高橋りりすの二人会                 No. 2025-018

 ~ 英語落語と英語朗読の聞き比べ ~

 はじめの20分間、鹿鳴家英楽と高橋りりすとの対談で、おもに英楽が主体となって喋り、お互いの自己紹介と二人の出会いのきっかけなどが語られた。
 二人の共通点は、二人とも上智大学出身ということで、出会いのきっかけは英楽がりりすの英語による一人芝居を観て感動し、それを機縁にして接触が始まったのが今から20年ほど前だという。
 英楽は、立川談志が小さんに破門されて一門を脱退した後、その彼を面白いと感じてその翌年に弟子入りし、英語による落語は、桂枝雀の英語による落語を見て自分の進むべき道はこれだと思ったという。
 英楽はこれまでに100篇ほどの英語に翻訳した落語を3分冊の本にして出している。
 自己紹介の後、この日の演目についての概況を説明し、最初にりりすが小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「むじな」を英語で朗読し、続いて英楽が英語で落語「のっぺらぼう」を語り、次にイギリスの短編「動物園の役者」の朗読と落語の「動物園」、最後にグリム童話から「名付け親の死神」の朗読と落語「死神」を語る趣向となっている。
 原作と落語にされた噺の微妙な違いを味わうことが出来る絶妙な組み合わせである。
 小泉八雲の「むじな」は有名な話で、落語でもなじみ深いのでその違いも分かりやすい。
 「動物園の役者」は知らない話であったが、原作では主人公は失職したパントマイムの役者であるが、落語では登場人物の名前を大谷翔平と日本ファイターズの新庄(自分のことをボスと呼ばせる)に変え、小説では動物園で主人公がゴリラに扮するのを落語ではトラに変えている。落語での最後のオチが面白く、笑わせてくれた。
 「名付け親の死神」と「死神」では、死神が病人の前に立つ位置が異なって、童話では枕もとに立つとその病人は回復するが、足元に立つと死ぬ運命であるが、落語ではそれが逆になっている。これも最後のオチが笑わせる。
 それぞれの作品の違いを大いに楽しむことができた。
 上演時間は、対談を含めて1時間30分。


8月29日(金)18時30分開演、浅草公会堂、チケット:2000円

【追記】 「死神」について
 今日、図書館で借りてきた本の一つ、『談志が残した落語論』(インプレスコミュニケーションズ刊、2014年)を読み始めていたら、<現在(いま)演(や)られている落語の多くは、落語中興の祖と言われている三遊亭圓朝が創った。・・・「死神」は、おそらく、珍しいということで、西洋からネタを引っ張ってきたのではないだろうか>というのに出会った。(8月31日)

 

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