ミュージカルを観るのは久し振り。というか、ほとんど見ない。シェイクスピア劇やその他の劇を見るので手一杯でそこまで余裕がないのが主な理由でしかない。
今回、鈴木吉行さんが鳥居元忠役で出演するということでご案内をいただいて、彼が出演するAチームの千穐楽の日程のみが都合を付けられたので観劇することができた。
劇場は練馬区の光が丘IMAホールという初めての場所。若い出演者が多いこともあって会場内のロビーは若い人であふれていた。客席もほとんど満席であった。
鳥居元忠については、もう50年以上の昔、山岡荘八の『徳川家康』全巻を詠んだとき、印象に残っていた登場人物の一人であったので、信長の本能寺の変の中でどのような形で登場してくるのか興味があった。
劇は、織田信長が吉法師と呼ばれた幼年期から本能寺の変でその一生を終えるまでの、戦国の世の戦乱を描いたもので、平手政秀が吉法師を養育している場面から始まり、本能寺の変で命が尽きる前に、再びその場面が回想的に描かれ、人の一生が夢幻のうちに過ぎ去ることを表象化していた。
エンターテインメントとしてのミュージカルなので、理屈抜きで楽しめばよいのだろうが、ついつい、山岡荘八の壮大な『徳川家康』の小説を思い出しながら、懐かしい名前の登場人物について思いを巡らしてしまった
出演者の声楽や演技を楽しむというより、物語としての劇の構成の方に興味が向いて、ストーリーの展開を追うのにエネルギーを費やした。
お目当ての鳥居元忠の最期となる場面もきっちり描かれていて、それを演じた鈴木吉行の演技もしっかりと見ることが出来た。
AチームとBチーム二組による交互の上演で、主演の織田信長を演じる徳山秀典とその妻帰蝶を演じる小泉萌香、小田勝長の江田剛、平田政秀の高田正人以外はほとんどがダブルキャスト。
信長の最期の言葉となった「人間50年下天のうちを比べれば夢幻の如くなり」の台詞回しは、自分が聴きなれてきた言い回しと随分異なっていて、自分の感興とはずれていたが、これも今どきの言い方なのかと却って新鮮に感じた。
このミュージカルを見て、あの長大な『徳川家康』をもう一度読み返してみたくなった。
上演時間は、途中15分間の休憩を挟んで、2時間40分。
脚本/H.I.J. stage、演出・主演/徳山秀典、音楽/印南俊太郎
6月15日(日)12時30分開演、光が丘IMAホール、
チケット:(A席)6800円、座席:P列17番
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