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仮想定規主催のフリンジフェスティバルの千穐楽。
その参加作品である別役実の不条理の世界に迷い込む。
舞台下手には別役実の劇の定番である電信柱とその上に笠を付けた電球、それに首吊り用の縄がぶら下がっており、ぶら下がるための足台の木箱がその下にある。舞台奥には、木製の長椅子。
登場人物は、その首吊り用の縄を仕掛けた自殺願望の「女」と、「トイレはこちら」のガイドを職業とする「男」の二人だけ。
「女」は、自殺を止めてほしいのだが、「男」にはその気がまったくない。
「男」は、その場所で誰かがトイレを捜しに来るものを待って、トイレはあっちだと教えて百円もらうのを仕事として、自分はガイドだと女に主張する。
二人の会話はナンセンスでここに列挙しても煩わしくなるだけで省略するが、男は終いには自分がトイレに行きたなったうえ、ここにはトイレは無いのだと白状し、どこかで用を足すために消え去る。
男が去った後しばらくして、赤い運動着に着替えた「男」がマラソンをしながら、「女」にトイレの場所を尋ねると、「女」はあっちだと指さす。「男」は女の手に百円玉を手渡し、女の指し示した方向へと走り去っていく。
馬鹿々々しいといえばこれほど馬鹿々々しい話は無いのだが、二人の交わす会話の間合いと微妙な沈黙の時間がこの劇の命となっているのを感じさせる。
「女」に北村青子、「男」に山本政保。二人のコンビネーションが見どころ。
作/別役実、演出/東洲斎重吉
3月23日(日)13時開演、中野スタジオあくとれ、チケット:3000円、全席自由
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