002 5日(土)14時開演、加藤健一事務所公演 『Be My Baby いとしのベイビー』 |
作/ケン・ラドウィッグ、訳/小田島恒志・則子、演出/鵜山仁
出演/加藤健一、阿知波悟美、加藤忍、粟野史浩、加藤義宗、高畑こと美
下北沢・本多劇場にて観劇。チケット:5400円、座席:K列24番 |
【観劇メモ】
2013年12月に同じキャストで上演されたのを観ており、劇が始まってすぐにストーリーを思い出した。
上質のエンターテインメントの笑いを楽しんだ。
上演時間は、休憩15分を挟んで2時間25分。
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003 14日(土)14時開演、文学座公演 『春疾風(はやて)』 |
作/川崎照代、演出/藤原新平、美術/島次郎
出演/倉野章子、早坂直家、郡山冬果、泳宝千晶、富沢亜古、駒井健介、他
紀伊國屋ホールにて観劇。座席:C列7番 |
【観劇メモ】
20年に及ぶ不在でありながら、家族の絆の中で確固として存在している父親。
リアリズム的に考えると、時間軸では不思議な話である。
ヒロインの竹内桐子(倉橋章子)は還暦を迎える歳であるので、20年前というと40歳の時である。
その時の3人の子供たちの年齢は、普通に推し量れば長女がせいぜい17、8歳、次女15,6歳、長男が12,3歳といったところであろう。ドラマの展開の中でも語られるが、20年前にはそれぞれが受験の年齢であった。
長女の柚子(郡山冬果)は独身で、両親をそれぞれ名前で呼んでいる。
次女のみこ(永宝千晶)は夫と塾通いをしている一人息子がいる。
長男の明(駒井健介)は結婚を前提として恋人がいる。
図書館の司書の仕事をしている桐子が、一人住まいのマンションの部屋の片づけをしているところから始まる。
夫の健一(早坂直家)が20年ぶりに戻ってくるというので、桐子は健一の部屋を片付けているのである。
夫が戻ってくるというので、桐子は子供たちを呼んでいるが、そこへ健一の従妹の竹内並江(富沢亜古)が突然やってくる。彼女は健一が故郷の鹿児島の実家にいるとき一切の面倒を見ており、健一が突然いなくなり、東京の自宅に戻ったと察知して追ってきたのである。
健一のかくも長き不在の理由が次第に明らかにされていくが、その真の理由までは分からない。
健一の父の死によって母親の面倒を見るために健一は実家に戻り、その母も10年前に亡くなったにもかかわらず依然として戻ってこない。
健一の実家は鹿児島の旧家であり格式が高く、母子家庭に育った桐子との結婚に実家では最初から反対で、彼女を受け入れようとはしなかった。それは健一の母の葬式や七回忌でもそうであった。
健一が戻ってこない理由を、長女の柚子は明の恋人への説明に、とっさの思い付きで「13回忌が済むまで戻ってこられない」と言う。
13回忌までにはまだ2年もあるのに今回健一が戻ってきたのは、胃潰瘍の精密検査を受けるためであった。
桐子は夫への言いたいことも言えないまま、夫が戻れない(戻らない)真の理由を聞いて、突然、マンションを売り払って夫の実家でパートナーとして手伝おうと決心する。
このマンションは、30年前に健一が構造一級建築士として初めて携わったものであり、桐子にとってついの住みかであった。桐子の思いを知った柚子は自分がそのマンションに住むという。
最後は明るいハッピーエンドであるが、20年という長い不在での家族関係というものに疑問符がついて心にピンとこないものがあったが、途中に挿入される3・11の話で、自然の力というものに対して構造建築士としての健一の思いなど、考えさせられる物もあった。
上演江時間は、休憩なしで2時間5分。
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