脚本・演出/北村泰助
出演/高橋和久、逢川大樹、菊地真之、北村泰助、由利尚子、難波愛、ほか(総勢15名)
大塚・萬劇場、チケット:3800円、全席自由席 |
【観劇メモ】
ストリー展開も面白く、パワーのあるエンターテインメントとして楽しんで観ることができた。
あわやという場面はあっても死者が一人も出ないことや、本質的なところでの悪人がいないということも後味の悪さが残らず、さわやかな気持で見終えることができる原因となっている。
村の郷士片岡清蔵(有木敬介)も妹を遊郭に売って金を得て白札郷士になろうとするが、それを隣村の白札郷士池辺源十郎(菊地真之)が奸計をもって阻止しようとするのが事件の発端である。
源十郎には村と村の対立を無くしていくという自分の描く理想の世界があり、そのためには上士と同じ身分となる白札郷士が二人になっては都合が悪く、何としてもそれは止めねばならない。
その手段において源十郎は悪人であるが、目指すところにおいては善である。
源十郎が清蔵を憎む原因の一つが、白札を買うため妹を犠牲にするという点において、自分と同じことをしているという鏡合わせの自己嫌悪も手伝っている。
この村と村の対立に元吉原遊郭の用心棒与吉(逢川大樹)の格好いい役割、村にひょんなことから滞在することになった龍馬(高橋和久)が最後の危ない場面に入って殺人を止め、結局誰一人として犠牲が出ない。
与吉の一人娘蓮(由利尚子)が龍馬に一目惚れするが、龍馬は自分の大望のため、結局は実らぬ恋に終わるが、それもからっとした感じでの別れで適度のカタルシスを感じさせてくれる。
恋あり、アクションありと、100分の時間があっという間に過ぎた。
源十郎演じる菊地真之と龍馬の相棒役愛之助演じる北村泰助の演技、それと逢川大樹の気風の良い演技がなかなか見応えのあるものでよかった。
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