023 9日(月) トム・プロジェクト プロデュース 『南阿佐ヶ谷の母』
作・演出/水谷龍二 出演/木の実ナナ、宇梶剛士、真山章志、李丹、大鶴美人音、カゴシマジロー
紀伊國屋ホール、チケット:4500円(シニア)、座席:B列13番
【観劇メモ】 この公演は、木の実ナナ主演ということで、とりもなおさず見たいと思った。 また、水谷龍二の作品も久しぶりだが、彼も好きな作家の一人。 期待に外れることなく、楽しく面白く観ることが出来た。 沖縄で始まった初日から2日目にアクシデントで木の実ナナは車椅子での出演となっていた。 脚本に変更があったかどうか分からないが、自ら自称するまったく当たらない占い師役の木の実ナナは、インドの旅行からバングラデシュまで足を延ばし、そこで人力車にはねられて大怪我をしたという設定になっているので、車椅子での出演に不自然さがまったくなかった。 場面転換の暗転の時、彼女の歌を楽しむことも出来たのも予想外の喜びとなった。 相手役のちゃんこ料理屋の元十両力士大王を演じる宇梶剛士、クラブの中国人ママの李丹、大阪から単身赴任のサラリーマンを演じる真山章志、占い師を生みの親と知って彼女を探してくる会社員役のカゴシマジロー、その娘で妻子ある大学教授と不倫中の大鶴美人音など、個性的な俳優の演技を十二分に楽しむことが出来た。 上演時間、休憩なしで1時間45分。 <感激度>★★★★
024 10日(火)14時、文学座公演 『再びこの地を踏まず』
作/マキノノゾミ、演出/西川信廣 出演/今井朋彦、佐川和正、若松泰弘、瀬戸口郁、永川友里、宮沢亜古、松岡依都美、他
紀伊国屋サザンシアター、座席:2列14番
【観劇メモ】 第1部では野口英世の無責任な放蕩三昧の面を多少コミカルに描き、第2部ではロックフェラー医学研究所で次々と最近の発見をして脚光を浴び、メリー・ダージェスとの結婚生活と、親友で美術写真家の堀市郎との交友など通して、彼のシリアスな面が描かれる。 野口英世を演じる今井朋彦の風貌が写真で見る野口英世とそっくりで、第1部の放蕩時代の野口英世をある意味では憎たらしく感じさせる演技で、第2部では母シカへの思いを語る場面では涙を誘う演技で感動させてくれる。 上演時間は、15分の休憩を入れて2時間40分。 <感激度>★★★★
025 11日(水)18時半、『桜の園』
翻訳/神西 清、演出/鵜山 仁、美術/島 次郎 出演/田中裕子、石田圭祐、金内喜久雄、柄本佑、吉村直、山崎薫、大谷亮介、田代隆秀、他 新国立劇場(小)、チケット:(B席)3078円(シニア)、座席:(B席)バルコニー、RB列33番
【観劇メモ】 チェーホフの上演では当たり外れが多いが、今回も自分には満足できるものではなく、退屈なものであった。 冒頭に登場してくる柄本佑のロパーヒンの台詞と演技は自分には不満足なもので落胆した。 ラネーフスカヤの兄ガーエフを演じる石田圭祐、ピーシチクの吉村直、フィールスの金内喜久雄など、ベテラン勢の演技、台詞がよかったのが救いであった。 主演の田中裕子については、自分にとっての好感度して可とも不可とも評し難いが、全体の中では存在感で「可」ということになる。 山崎薫のアーニャ―もキャラクターとしての存在感に好感が持てた。 舞台作りは、大きな額縁舞台で、客席の真ん中に花道を設けているのが特徴であった。 上演時間は、途中15分の休憩を入れて2時間45分。
026 16日(月)14時、劇団山の手事情社公演 『女殺油地獄』
原作/近松門左衛門、構成・演出/安田雅弘 出演/大久保美智子、山口笑美、倉品淳子、山本芳郎、浦弘毅、等
吉祥寺シアター、チケット:3500円、座席:F列9番
【観劇メモ】 衣裳など含めて現代風にアレンジされているにもかかわらず、近松門左衛門作品の時代を感じさせる演出。 先に観た『タイタス・アンドロニカス』の出演者と同じ顔ぶれで、特にラヴィニアを演じた山口笑美とタモーラを演じた倉品淳子は特徴があってすぐに気が付いた。 上演時間、1時間30分。
027 17日(火)14時、松川真澄ひとり舞台 『「おりん口伝」伝』
作・構成・演出/ふじたあさや 出演/松川真澄
新宿区山吹町・絵空箱、チケット:3700円
【観劇メモ】 プロレタリア作家松田解子(ときこ)の生涯を描いたひとり舞台の朗読。実母をモデルにした鉱山で暮らす女性の苦闘を描き、「花岡事件」を題材にした『地底の人々』などの作品を織り込んでの朗読。1時間30分。
028 8日(火) 14時、加藤健一事務所公演 『女学生とムッシュ・アンリ』
作/イヴァン・カルベラック、訳/中村まり子、演出/小笠原響 出演/加藤健一、瀬戸早妃、斉藤直樹、加藤忍
紀伊國屋サザンシアター、チケット:5400円、座席:9列18番
【観劇メモ】 上演時間:休憩なしで2時間。 平日のマチネということもあってか、劇場の入りは3分の2程度で、後部座席はまったく空いていた。 軽やかな笑いとユーモアのコメディをじっくりと楽しんだ。
029 13日(日)14時、文学座アトリエ公演 『白鯨』
原作/ハーマン・メルヴィル、劇化/セバスチャン・アーメスト、訳/小田島恒志、演出/高橋政徳 出演/小林勝也、中村彰男、采澤靖起、川辺邦弘、石橋徹郎、上川路啓志、櫻井章喜、沢田冬樹、 鈴木亜希子、藤側宏大
信濃町・文学座アトリエ、座席:A列14番
【観劇メモ】 上演時間:2時間25分、途中休憩15分。 舞台は文学座アトリエの平土間を円形にして使い、客席はその周囲を馬蹄形に囲む。 エイハブ船長(小林勝也)の台詞に『リア王』に通じるものがあっただけでなく、リアそのものとして感じさせられた。 イシュメイルには采澤靖起。 女優の出演は鈴木亜希子一人だけで、役柄も女性としてではなく予言者風の人物エライジャとピーコック号乗組員の黒人の少年役。 台詞に歌と踊りが入り、最初のうちはブレヒト的なものを感じた。
030 20日(日)15時開演、SCOT公演・日米2か国語版 『エレクトラ』
原作/ソボクレス、ホーフマンスタール、構成・演出/鈴木忠志、作曲・演奏/高田みどり 出演/エレン・ローレン(クリテムネストラ)、佐藤ジョンソンあき(エレクトラ)、鬼頭理沙(クリソテミス)、平垣温人(オレステス)、車椅子の男(5名)、看護婦(6名)、竹森陽一(医者)
吉祥寺シアター、チケット:4000円、座席:E列3番
【観劇メモ】 上演時間:1時間10分 観る者をして緊張たらしめる。 上半身裸で、下半身は半ズボンの車椅子の男たちの張りつめた筋肉。 エレクトラを演じる佐藤ジョンソンあきは、全身鋼線のような筋肉質の体。 この舞台を如何に観るべきかは上演後のトークで、質問者の質問(というより疑問)に答える鈴木忠司の答えで十分である。 質問者は、英語の台詞はよく聞き取れたが、日本語の台詞がよく聞き取れなかったという。 鈴木忠司はそれに答えて、義太夫を聞いてその言っていることが分かるかと問い返し、聞いて慣れてもらうより他にないという。 これは歌舞伎や能などのように様式の一つであり、鈴木忠司の様式であるので、それを楽しみ味わうほかない。 緊張感が強すぎ、能を観た時と同じように途中幾度か眠りに落ち込んだ。
031 22日(火)14時開演、グローブ文芸朗読会 『クリスマス・キャロル』
作/チャールズ・ディケンズ、朗読台本・演出/蔀 英治 出演/女鹿伸樹、菊地真之、北村青子、倉橋秀美、白神直子、蔀英治(スクルージ役) 音楽/大政直人、ヴァイオリン演奏/武田桃子
武蔵野スイングホール、チケット:3000円、全席自由席
【観劇メモ】 上演時間:休憩10分を入れて1時間45分。 昨年も観た(聴いた)が、今年は昨年以上に感動したように思う(去年のことはもう覚えていないので確かなことは言えないが)。平日のマチネということで客席の人数が少ないのが残念。もっと多くの人に聞いてもらいたい。
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