【観劇メモ】
鈴木メソッドの様式による陰影の美学を感じる舞台であった。
独特な台詞回しと、台詞をしゃべっているときの俳優の筋肉が浮き彫りにされることで、観ている者に対して気を抜けない緊張感を覚えさせるものがあったが、挿入される演歌がその緊張感が解きほぐす効果をもたらしていた。
上演時間は1時間ほどだが、濃密な時空を感じさせる美しい舞台だと感じた。
冒頭部では、『リア王』で看護婦を演じた植田大介と佐藤ジョンソンあきが看護婦の姿で現われ、『リア王』を観た後では二つの関係の近しさを感じた。
出演者の数からすると冒頭に看護婦の姿で登場する植田大介が看護婦モンローの兄も演じていることになるが、まったく二役だと分からなかった。
終演後、鈴木忠志との質疑応答の時間があったが、この舞台の余韻に余計な情報は不要だと思ったので、それには参加しなかった。
|