【観劇メモ】
タイトルだけを見ると何のことか分からなかったが、永井愛の作品というだけで面白いだろうと思っていたが、期待に違わず面白かった。
永井愛の戯曲は、他の作品の本歌取りにした意外性の発展や、パロディの面白みを骨頂とするように思う。
『かたりの椅子』は新国立劇場の鵜山仁解任事件(?)のパロディを感じさせるものであり、痛烈な風刺に溜飲の下がる思いがした。
銀粉蝶演じる文部科学省からの天下りの文化振興財団理事長は、新国立劇場の理事長とぴったり重なる役柄であり、この劇の舞台である可多里(かたり)市で開催されるアート・フェスティバルの実行委員長が鵜山仁に当たる。
フェスティバルのプランを作った理事長の案をことごとくひっくり返した案を作った実行委員長を解任させるときの台詞がまったく新国立劇場の茶番劇と一緒である。
解任の理由に、実行委員長との「コミュニケーションがとりにくい」という財団理事長の台詞は、新国立劇場の理事長の弁そのものである。
それよりももっと怖いのは、当事者がいかに体制に懐柔され、それに流されていくかということである。
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