【観劇メモ】
引越しの前日。
主人公のフランク(松重豊)を訪ねて24年前の恋人ロミー・フォークトレンダー(西田尚美)が突然にやってくる。
それからドラマは、時間がときどき現在と少し前の過去を前後させながら錯綜して進展する。
女は、男がずっと愛し続けると約束したと主張し、その契約を果たすことを求める。
男には息子が一人いる。名前はアンディ(日下部そう)。
アンディには恋人がいて、彼は彼女を愛し続けると言ってはいるが、もう絶対に会うことはないと思っている。
それは、24年前の父親の再現であることが後から読み取れる。
フランクの妻クラウディア(七瀬なつみ)は、ロミーを選ぶか、自分を選ぶか夫に迫る。
クラウディアは夫に20分間の時間を与えて、夫と女を残して自分は部屋を出ていく。
………………
最後は衝撃的で、心臓がつぶれそうな驚きが走る。
女が置いていったプレゼントの包みを、息子の恋人が彼のために置いていったのだと勘違いして、勝手にその包みを開けてしまう。
包みの袋に手を入れたとたん、クラウディアは炎に包まれて焼死する。
その前夜は帰ってこなかったと思っていた息子のアンディは、引っ越し荷物の段ボールの中で死んでいた。
フランクはそれらを目の当たりにして恐怖に駆られ、部屋から逃れようとするが、扉があかない。
その扉は昔の恋人が来てからというもの、壊れて閉まらなくなっていたのだが、今度は開かなくなった。
そして、家が崩壊していく。
扉に張り付けられたようにして動けなくなったフランクとともに、部屋が音を立てて、舞台の底へと沈んでいく。
その崩壊のすべてをずっと見つめ続けるアンディの恋人ティーナ(ちすん)の目が怖い。
終わりもショッキングであったが、ちすん演じるティーナの眼はもっと不気味であった。
ティーナはロミーが転生したものであるかのようで、輪廻を感じさせるものがある。
上演時間 1時間30分
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