【観劇メモ】
観客席が中央のリング状の舞台を挟む形になっていて、天井いっぱいまで、円形の舞台の輪郭だけを抜き取ったような大きなリングが対面側の客席手前に立ち上がっているのがまず目を引いた。
劇が始まるとそれが何を表象しているのか分かってくる。
その大きなリングは洞窟の入り口を表象し、円形の舞台は洞窟の中そのものである。
息子クランドール(堤真一)の消息を尋ねる父親プリダマン(金内喜久雄)が魔術師アルカンドル(段田安則)にその洞窟に案内されてきて、息子の消息がその洞窟の舞台の上で演じられる。
クランドールが仕えるほらふき隊長マタモールを、アルカンドルを演じている段田安則が二役で演じる。
初めて見るので、話の展開がサスペンス的な面白さがあってそれに引き込まれていく。
喜劇から悲劇へと真っ逆さまに落ち込んだ・・・と思ったら、思わぬどんでん返し。
そして最後には、それが劇中劇の舞台そのものだったと気づかされる。
が、それは最後の最後の話。
良質のスリラー小説が再読に耐えるように、この劇も最後のオチがわかっていても、プロセスの面白さを何度も楽しめる作品だと思う。
今年の新国立劇場の出し物では、4月に上演された『焼肉ドラゴン』とこの『舞台は夢』が双璧だと思う。
めったに見ることができないフランスの古典劇を見ることができたのもよかった。 |