6 夜明け ジョン・ダンの部屋

 

本当に朝だわ、だからどうだというの?

だから起き上がってわたしを置いて行くつもり?

明るくなったから、起きなくてはいけないの?

夜になったから、寝たとでも?

暗くてもここでわたしたちを一緒にしてくれた愛は、

明るくなっても一緒にしておいてくれなくては。

 

太陽には口がなくて、あるのは目だけ、

覗き見するだけでなく、口がきけても、

言えるのは、せいぜいこれくらい、

幸せだから、一緒にいたいの、

わたしが大切にしていた心と操、

その二つを捧げたあの人と離れたくない。

 

仕事があるからここを出ていくの?

ああ、そんなことは恋にとって最悪の病気、

貧乏でも、醜男でも、不実でも、愛は

許すことができるけど、忙しい男は駄目。

仕事があるのに恋をする男なんて、

妻がいるのに女を口説くようなもの。

 

 

【訳注】

原題:’Break of Day’

『唄とソネット』で、ダンの生存中出版された二つの詩の中の一つ。1612年、ウィリアム・コーキンの『歌曲第2巻』に音楽とともに収録された。

 

 

 

ページトップへ

 
 
   
ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩