46 三重の馬鹿 ジョン・ダンの部屋

 

僕は二重の馬鹿だ、

第一に、恋をする馬鹿、次に、

呻きながら、それを詩に書く馬鹿。

だが、どんな賢い者でも、僕と同じことをするだろう、

女が嫌だと言わない限り。

地下のうねうねと屈曲した細い水脈が

海水を濾過し、塩分を取り除くように、

僕の恋の苦しみを、脚韻の苦痛で追い払う

ことができれば、恋の苦しみも和らぐだろう。

悲しみを韻律になおせば、少しは楽になるだろう、

詩に封じ込めれば、手なずけることもできるだろう。

 

そこで、僕がそうすると、

自分の技芸と美声を披露したい連中が、

僕の悩みに節をつけて歌った。

そうして、多くの人を楽しませては、

詩が抑えていた悲しみを解放した。

詩は、恋と悲しみに捧げられるもの、

だが、読んで楽しむものではなく、

声に出して歌えば、恋も悲しみも募るだけ。

恋と悲しみの勝利が広く知れ渡れば、

二重の馬鹿のこの僕は、三重の馬鹿となる。

小賢しい者こそ、大馬鹿者だ。

 

 

【訳注】

原題:’Triple Fool’

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩