僕は二重の馬鹿だ、
第一に、恋をする馬鹿、次に、
呻きながら、それを詩に書く馬鹿。
だが、どんな賢い者でも、僕と同じことをするだろう、
女が嫌だと言わない限り。
地下のうねうねと屈曲した細い水脈が
海水を濾過し、塩分を取り除くように、
僕の恋の苦しみを、脚韻の苦痛で追い払う
ことができれば、恋の苦しみも和らぐだろう。
悲しみを韻律になおせば、少しは楽になるだろう、
詩に封じ込めれば、手なずけることもできるだろう。
そこで、僕がそうすると、
自分の技芸と美声を披露したい連中が、
僕の悩みに節をつけて歌った。
そうして、多くの人を楽しませては、
詩が抑えていた悲しみを解放した。
詩は、恋と悲しみに捧げられるもの、
だが、読んで楽しむものではなく、
声に出して歌えば、恋も悲しみも募るだけ。
恋と悲しみの勝利が広く知れ渡れば、
二重の馬鹿のこの僕は、三重の馬鹿となる。
小賢しい者こそ、大馬鹿者だ。
【訳注】
原題:’Triple Fool’
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