45 日の出 ジョン・ダンの部屋

 

でしゃばりで、老いぼれで、礼儀知らずの太陽よ、

どういう訳でおまえはこのように、

窓越しに、カーテンを透かして、僕たちを覗きこむのか。

恋人たちは、おまえの時間に合わせなくてはいけないのか。

生意気な教師面したおまえなどは、

遅刻した生徒や、ひねくれものの丁稚を叱るのが似合っている。

宮廷の猟官者どもに、王様が狩りにお出ましだと教えてやれ、

田舎の働き蜂どもは、刈り入れ仕事に狩り出せ。

愛は変わることなく、季節も、天気も関係ない、

時間も、月日も、そんなものは、時の端切れに過ぎない。

 

おまえの光線は、尊くて強いものだと、

どうして自惚れるのか。

瞬き一つで、そんなものは見えなくすることができる。

そうしないのは、少しでも彼女を見失いたくないからだ。

彼女の瞳がおまえの目を盲目にしていなければ、

明日、行って見てきたことを報告しろ、

インドの香料と黄金が、

元の場所にあったか、それとも、僕の手元にあるかを。

昨日会った王様たちのことを尋ねてみるがいい、

すべてこのベッドにいると答えるだろう。

 

彼女は全世界、僕はすべての王様、

他のものは、存在しない。

王様たちは、僕たちを演じているに過ぎない。僕たちに較べれば、

すべての栄誉はまがいもの、すべての富は見せかけでしかない。

太陽よ、おまえの幸福は僕たちの半分、

僕たちこそ世界の縮図であるからには。

老いたおまえは休息を求めるが、おまえの任務は

世界を暖めること、だから僕たちを暖めておればよい。

ここにいる僕たちを照らせば、全世界を照らすことになる。

このベッドこそおまえの中心、この壁こそおまえが廻(めぐ)る軌道だ。

 

 

【訳注】

原題:’The Sun Rising’

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩