44 ソネット―愛のしるし ジョン・ダンの部屋

 

僕の希望をつなぐ、何かしるしが欲しい、

僕の不安な気持を落ち着かせて眠れるものが。

僕の巣箱を甘く満たしてくれる蜂蜜が欲しい、

僕の恋の苦しみを鎮めてくれる最高のものが。

きみの手編みの飾り紐などが欲しいのではない、

そんなものは初めて恋をした若者が気まぐれに

結う恋の紐。愛情の程度を示すという指輪

も欲しくない。丸くて、飾り気もなく、

僕たちの恋もそうあるべきだと言いたげだ。

きみの手首を巻いている珊瑚もいらない、

手首と一体となって、

二人の思いは一つだと、これ見よがしだ。

きみの絵姿も必要ない、どんなに美しく、

どんなに、最高に描かれたものであっても。

才気あふれる言葉も必要ない、そんなものは

きみが寄こした手紙の中に溢れるほどある。

 

僕の宝を増やすために、あれもこれも贈る必要はない、

僕がきみを愛していることを信じてくれれば、それだけで十分。

 

 

【訳注】

原題:’Sonnet. The Token’

 

ページトップへ

 
 
   
ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩