僕の墓が暴かれ
次なる客が招かれる時、
(墓も当節では女の性(さが)を見習って
一つのベッドに何人も入れるようになった)
墓を掘る人足が、
僕の骨のまわりに金髪で作られた腕輪を見つけても、
そのままそっとしておいて、
愛し合った二人が眠っているのだと思い、
最後の審判の日に、二人の魂がこの墓で
再会し、しばしの逢瀬を過ごすために
このような工夫を考えついたのだと思って欲しい。
このことが、邪宗のはびこる
時代や、国で起こったなら、
二人を掘り上げた墓掘りは、早速、
司祭や王様のところに届け出し、
二人は聖遺物に祀り上げられるだろう。
きみはマグダラのマリアとなり、僕は
それにあやかる者となる。(注:1)
すべての女性が二人を崇め、男たちの中にも崇める者がいるだろう。
そのような時代には、奇跡が求められるので、
汚れのない二人の恋人がどんな奇跡を働いたか、
この詩に書いて教えてやろうと思う。
まず、僕たちはこよなく忠実に愛し合い、
しかも、何を愛し、なぜ愛しているのかも分からず、
性別も何も分からないまま愛したので、
僕たちの愛は守護天使にも劣らぬものだった。
出会いと別れの時には、
接吻を交わしたけれども、食事の間にはしなかった。
近頃の法律によって禁じられた封印の個所を
自然が解放しても、二人の手は触れることはなかった。
これが僕たちの成した奇跡。ああ、だが今はもう、
どんな韻律、言語をもってしても、
彼女の奇跡について語る術を知らない。
【訳注】
原題:’The Relic’
注:1 マグダラのマリアはキリストに献身的に仕え、恋したと言われ、「それにあやかる者」とはキリストを指すと考えられている。
ページトップへ
|