僕と一緒に暮らそう、僕の恋人になっておくれ、
ふたりで、何か新しい遊びを見つけよう、
金の砂に、水晶の小川、
絹の釣り糸に、銀の釣り針。
小川のせせらぎは、太陽より暖かい
きみの瞳に温められて流れていく。
きみに魅せられた魚はじっとしたまま、
今か今かと釣られるのを待っている。
その活気に満ちた浴場できみが泳げば、
川底にいる魚は一匹残らず、
きみになまめかしくすり寄ってきて、
魚の方が、きみを捕まえようと必死になるだろう。
そんな姿を見られるのが恥ずかしければ、
太陽も月も曇らせてしまえばいい。
僕が見るのを許されるなら、
そんな光など、きみがいれば必要ない。
ほかの奴らは釣り竿片手に凍りつけ、
貝殻や海藻で足を切るがいい、
はたまた、絞め殺す罠や、穴のあいた網で、
哀れな魚を騙し捕りするのもいいだろう、
ぬらぬらした巣から、荒々しい武骨な手で、
川底の魚を川岸に掴み上げるのもいいだろう、
釜糸の毛針でまんまとだまし、
落ち着きのない眼をした哀れな魚を虜にするのもいい。
きみには、そんなだましの手口など必要ない、
だってきみは、きみ自身が餌だから、
きみにかからぬ魚がいるとすれば、
そいつは、僕よりずっと賢いことになる。
【訳注】
原題:’The Bait’
この詩は、マーローの有名な牧歌詩’The Passionate Shepherd to his Love’を変じたもので、最初の1行目はそっくり同じであり、2行目もほとんど同じである。
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