4 餌 ジョン・ダンの部屋

 

僕と一緒に暮らそう、僕の恋人になっておくれ、

ふたりで、何か新しい遊びを見つけよう、

金の砂に、水晶の小川、

絹の釣り糸に、銀の釣り針。

 

小川のせせらぎは、太陽より暖かい

きみの瞳に温められて流れていく。

きみに魅せられた魚はじっとしたまま、

今か今かと釣られるのを待っている。

 

その活気に満ちた浴場できみが泳げば、

川底にいる魚は一匹残らず、

きみになまめかしくすり寄ってきて、

魚の方が、きみを捕まえようと必死になるだろう。

 

そんな姿を見られるのが恥ずかしければ、

太陽も月も曇らせてしまえばいい。

僕が見るのを許されるなら、

そんな光など、きみがいれば必要ない。

 

ほかの奴らは釣り竿片手に凍りつけ、

貝殻や海藻で足を切るがいい、

はたまた、絞め殺す罠や、穴のあいた網で、

哀れな魚を騙し捕りするのもいいだろう、

 

ぬらぬらした巣から、荒々しい武骨な手で、

川底の魚を川岸に掴み上げるのもいいだろう、

釜糸の毛針でまんまとだまし、

落ち着きのない眼をした哀れな魚を虜にするのもいい。

 

きみには、そんなだましの手口など必要ない、

だってきみは、きみ自身が餌だから、

きみにかからぬ魚がいるとすれば、

そいつは、僕よりずっと賢いことになる。

 

 

【訳注】

原題:’The Bait’

この詩は、マーローの有名な牧歌詩’The Passionate Shepherd to his Love’を変じたもので、最初の1行目はそっくり同じであり、2行目もほとんど同じである。

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩