目や、頬、唇を獲物と狙う連中のように、
低く舞い降りることは一度もなかった。
また、美徳や精神を重んじる連中に較べて、
高く飛ぶことにおいて引けを取ることもなかった。
感覚や理性によって、何が
愛の火に油を注ぐか知っていたからである。
僕の愛は、無知であるけれども、気力はある。
欲しいものが何であるか分かっていても、
望んだところで、手に入るものでもない。
完全無比なるものを
表現する方法が、
否定によるしかないとすれば、僕の愛がそれだ。
すべての人が愛す、すべてのものに対し、僕は否定する。
謎解きの名人がいて、
我々が知り得ない己自身を知る者がいれば、
愛の無が何であるかを教えて欲しい。
ともかく今は、安らぎがあり、慰めがある、
成功しなくても、失敗しないのだから。
【訳注】
原題:’Negative Love’
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