33 愛の神の高利 ジョン・ダンの部屋

 

今あなたが一時間でも僕の思い通りにさせてくれれば、

高利貸しの愛の神様、

あなたに二十倍にして返そう、

僕の茶色の髪が、そっくり白髪になった時には。

それまでは、愛の神様、僕の肉体の思い通りにさせてくれ。

遍歴、逗留、強奪、企み、ものにしては、忘れ去り、        

去年捨てた女とよりを戻す。しかもふたりは

初めて会ったような顔をする。

 

恋敵宛ての手紙を僕のものと思わせ、

翌朝九時に、

真夜中の逢い引きの約束を守らせてくれ。遅くなったのは、途中で

あなたと女中を間違えて、戯れていたのでと言い訳するのも自由。

戯れであっても、どんな女であろうと愛すのは御免蒙る。

田舎育ちの娘から、宮廷のお菓子のような娘まで、

さらには、都会育ちの何とかさんにまで、

僕の思い通りにさせてくれ。

 

この取引はいいはずだ。僕が老いた時、あなたに

焼かれもしよう、

あなたの名誉、あるいは、僕の恥辱や苦しみなど、

あなたが最も望むものを、老いた時、あなたに差し上げよう。

その時には、あなたの思い通りにするがいい。愛の神よ、

その時には、愛の主題、程度、果実をあなたに差し出そう。

その時が来るまで、僕の思い通りにさせてくれ。その時になれば僕は耐えられる、

僕を愛す女が彼女であろうとも。

 

 

【訳注】

原題:’Love’s Usury’

 

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩