僕の愛は、僕が思っていたほど
純粋だとは到底信じられない。
僕の愛は、草木のように
四季とともに変化し、季節の移り変わりに耐えてきた。(注:1)
僕は嘘をついていたようだ、冬の間ずっと僕は、
愛は無限だと言い張っていたのに、春になって愛が成長するとは。
悲しみを癒すのに新たな悲しみをもってするという
愛というこの妙薬は、第五元素(注:2)の真髄などではなく、
魂や感覚を苦しめる雑多な混合物に過ぎず、
その効能は太陽からの借りものでしかない。
愛は、純粋なものでも、抽象的なものでもなく、
ミューズの女神のほかに恋人はなく、
すべての元素の混合物と同じように、
瞑想にふけることもあれば、行動に移すこともある。
だが、春が来て愛は成長したのではなく、
ただ目立つようになっただけ。
天空で、星の輝きが大きくなった
ように見えるのは、太陽の力によるのと同じこと。
愛の優しい行為が、枝に咲く花のように、
目覚めた愛の根元から、いま芽吹こうとしている。
水面(みなも)にできた一つの波紋が、幾重にも
拡がっていくように、愛もまた大きくなっていく。
多くの天球の輪も、一つの天空に過ぎないように、
愛の拡がりもすべておまえを中心にした同心円。
春が来るたびに、愛は熱を増すが、
王様たちが戦時に新税を
取り立て、平和が戻っても減税しないように、
冬が来ても、春に増えたものは減りはしない。
【訳注】
原題:’Love’s Growth’
注:1 イザヤ書40章6-7節、「肉なるものはみな草に等しい。永らえても、すべては野の花のようなもの。草は枯れ、花はしぼむ」
注:2 「第五元素」は四元素(空気、土、水、火)の外にあり、万象に拡充して宇宙全体を構成すると考えられた要素。
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