僕より愛の鉱脈を深く掘り下げた者がいたら、
教えて欲しい、愛の至福の中心がどこにあるかを。
愛し、愛を得、勝ち得た愛は数知れず、
老いぼれるまで、愛し、愛を得、勝ち得た愛を数え上げても、
愛の隠された神秘を知ることはできないだろう。
そんなことは、みな嘘八百だ。
これまで、霊薬を作れた錬金術師は一人としていない。
それでも、何かの拍子に、
香水か、薬用のものができようものなら、
多産な壺よ、と誉めるのが関の山。
恋人たちも同じようなもの、愉楽の喜びを夢見ても、
手にするものは、冬の夜寒と、夏の短夜だけ。
安楽な暮らし、貯め込んだ財産、勝ち得た名誉、それに命まで、
泡となって消えるようなこの虚しい影のために犠牲にしなくてはならないのか。
愛の終わりとはこんなものか、
花婿の役を演じる束の間の屈辱を我慢できるなら、
僕の下男でも、僕と同じだけ幸福になれる程度のものなのか。
恋する男が、
結ばれるのは身体ではなく、心と心だと誓いを立て、
女の心に天使を見つけでもすれば、
晴れの日の乱痴気騒ぎを、
天上の音楽を聞いたと言い出しかねない。
女に心を期待してはいけない。あるのは、せいぜい、
美貌と才知。ものにしたところで、抜け殻でしかない。
【訳注】
原題:’Love’s Alchemy
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