27 恋人の無限性 ジョン・ダンの部屋

 

きみの愛のすべてをまだもらっていないとすれば、

愛しい人よ、これから先もそれをもらうことはないだろう。

きみの心を動かす溜息は出尽くし、

流す涙は一滴も残っていない。

きみを贖うための僕のすべての宝物、

溜息、涙、誓いの言葉、恋文を全部使い果たしてしまった。

それなのに、愛の取引で交わされた以上のことは、

何一つ残されていない。

きみの贈る愛が部分的なもので、

一部が僕に、一部は他の誰かに渡るのであれば、

愛しい人よ、僕が君のすべてを得ることはあり得ない。

 

あの時きみがすべてを僕にくれていたとしても、

そのすべては、その時のきみが持っていたすべてでしかない。

その時、あるいはこの先、きみの心に、

他の男たちによって、新しい愛が生まれるかもしれない。

彼らは、涙も、溜息も、誓いの言葉も、恋文も、

そっくり手つかずで、僕に勝っており、

この新しい愛は、僕に新たな心配を産み出す。

なぜなら、この愛はきみが誓ったものではないから。

だが、きみがくれたものが包括的なものであれば、

大地であるきみの心は僕のもの。そこで何が産まれようと、

愛しい人よ、それはすべて僕のもの。

 

いや、僕は君のすべてを欲しいとは思わない、

すべてを得た者は、それ以上もらうことができない、

それに、僕の愛は日々成長していくので、

きみは新たな報酬を蓄えていかねばならない。

きみは毎日僕にきみの心をくれるわけにはいかない。

それができるとすれば、くれていなかったことになる。

愛の謎は、きみの心が出て行っても、

もとの処に留まり、失われることが、蓄えることになる。

だが、僕たちはもっと開放的な道を選び、

心と心を交換するより、二人の心を一緒にまとめ、

一つにすることで、互いにすべてとなろう。

 

 

【訳注】

原題:’Lovers’ Infiniteness’

 

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩