ちょっと止まってごらん、きみに
愛の哲学を講義してあげよう。
かれこれ三時間ほど費やして、
ここまで歩いてきたが、二つの影が
一緒についてきた。それは二人が作りだした影法師。
だが、今や太陽は僕たちの真上にあり、
僕たちはその影を踏んでいる。
すべてのものが皓々たる光と化している。
僕たちの幼い愛が成長する過程では、
偽装や、影法師が、僕たちや、
僕たちの気苦労についてまわったが、今は違う。
他人の目を気にしてあくせくするような愛は、
愛の頂点に達しているとはいえない。
僕たちの愛が、この正午に留まらなければ、
反対側に新しい影法師ができるだろう。
はじめの影は、他人の目を
欺くもので、あとからできる影は
僕たち自身に作用して、二人の目を欺く。
二人の愛が衰え、西に傾くようなら、
きみは僕に、きみの行動を偽り、
僕はきみに、僕の行動を偽ることになるだろう。
朝の影は、時とともに小さくなるが、
午後の影は、陽のある限り大きくなっていく。
でも、傾き始めれば、愛の一日はなんと短いことか。
愛は、成長する光、不変の光、
正午を一分でも過ぎれば、あとは夜の闇。
【訳注】
原題:’A Lecture upon the Shadow’
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