25 影についての講釈 ジョン・ダンの部屋

 

ちょっと止まってごらん、きみに

愛の哲学を講義してあげよう。

かれこれ三時間ほど費やして、

ここまで歩いてきたが、二つの影が

一緒についてきた。それは二人が作りだした影法師。

だが、今や太陽は僕たちの真上にあり、

僕たちはその影を踏んでいる。

すべてのものが皓々たる光と化している。

僕たちの幼い愛が成長する過程では、

偽装や、影法師が、僕たちや、

僕たちの気苦労についてまわったが、今は違う。

 

他人の目を気にしてあくせくするような愛は、

愛の頂点に達しているとはいえない。

 

僕たちの愛が、この正午に留まらなければ、

反対側に新しい影法師ができるだろう。

はじめの影は、他人の目を

欺くもので、あとからできる影は

僕たち自身に作用して、二人の目を欺く。

二人の愛が衰え、西に傾くようなら、

きみは僕に、きみの行動を偽り、

僕はきみに、僕の行動を偽ることになるだろう。

朝の影は、時とともに小さくなるが、

午後の影は、陽のある限り大きくなっていく。

でも、傾き始めれば、愛の一日はなんと短いことか。

 

愛は、成長する光、不変の光、

正午を一分でも過ぎれば、あとは夜の闇。

 

 

【訳注】

原題:’A Lecture upon the Shadow’

 

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩