おまえは黒いといっても、僕の心ほど黒くはなく、
脆いといっても、彼女の心ほど脆くはない。
おまえはいったい何を表わそうとするのか。僕たち二人の性質を、
永遠に続くものと、すぐに壊れるものとに象徴するとでも?
結婚指輪にはこんなものなど使わない。
ああ、どうしてまた、安物で、壊れやすいものが、
二人の愛を表象できるのか。おまえの名前にかこつけてこう言わせるためか、
わたしは安物、流行りもの、気軽に捨てて下さいと。
だが、来た以上、ここにいて、
彼女の親指を飾っていたように、この指先を飾り、
僕と一緒にいるのを誇りに思い、無事でいるのを喜ぶがいい。
誓いを破ったあの女なら、おまえなどすぐに壊してしまうだろう。
【訳注】
原題:’A Jet Ring Sent’
詩人は女性から贈られた指輪に話しかけている。銀で縁取られた黒玉の指輪は、当節流行の愛の徴であった。黒色は、非哀と謙虚の色で、変わることのない忠誠の徴でもあった。ダンの時代には、指輪を親指に嵌めるのが一般的であった。
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