2 一周年記念 ジョン・ダンの部屋

 

すべての王様も、すべての寵臣も、

名誉、美、才知に輝くすべての人々も、

時を作る太陽にすらも、時は巡り、

あれから一年、歳をとってしまった、

きみとぼくがはじめて会ったあのときから。

ほかのすべてのものは、破滅に向かって進むのに、

ぼくたちの愛だけが衰えることはない。

この愛は、明日もなければ、昨日もなく、

進みながらも、ぼくたちから遠ざかることなく、

最初も、最後もない、永遠の日を忠実に守る。

 

きみとぼくの亡骸(なきがら)を隠すには二つの墓がいる、

一つですむなら、死も離別とはならないのに。

ああ、ぼくたちもまた、ほかの王様たちと同じように、

(ぼくたちは、お互いにとって王様と同じ)

死ねば最後、この目とも耳とも別れなくてはならない、

真(まこと)の愛の誓いを聞いた耳とも、甘くて塩辛い涙で濡らした瞳とも。

愛のほかにはなにも宿さないふたりの魂は、

(ほかの思いが宿るとすれば、そんなものは居候に過ぎない)

肉体が墓に入り、魂が墓を抜け出るとき、

愛が天上で増大するのをはっきり示すだろう。

 

そのときこそ、僕らは十二分に祝福を受ける、

でもそれは、ほかの人たちにとっても同じこと。

地上にあっては、ぼくらは王様、ぼくたちのほかには

これほどの王様もいなければ、これほどの臣下もいない。

ぼくたちほど安泰なものはいない。ぼくたちを

裏切るものは、ふたりのほかにはだれもいない。

嘘か本当かの危惧をもつのはよそう。

気高く愛し、気高く生きて、

歳月に歳月を重ね、還暦を迎えて祝おう。

今日は、ぼくたちの治世の二年目のはじめの日。

 

 

【訳注】

原題:’The Anniversary’

 

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩