ああ、死なないでくれ。きみが死ねば
すべての女性を憎むことになる。
きみがその一人であったことを思えば、
きみを賛美することもやめてしまうだろう。
だが、きみは死ぬはずがないと思っている。
この世をあとにするということは、死である。
きみがこの世を捨てて逝けば、
この世のすべてがきみの息とともに蒸発する。
この世の魂であるきみが逝ってしまえば、
残されたこの世は、きみの抜け殻に過ぎない。
最も美しい女性も幽霊でしかなく、
最も賢明な男も腐った蛆虫でしかない。
ああ、百家争鳴の学者たちは、この世を
燃やし尽くす火が何であるかを追及しながら、
それが彼女の熱病であると、誰一人、
気付くだけの智恵もなかったのか。
だが、この熱病で彼女が亡ぶはずもなければ、
この苦しみも長く続くはずがない。
なぜなら、このような熱病を長く燃やし続けるには、
大量の腐敗を必要とするからだ。
この燃えるような発作は、流星のようなもの、
きみの中にある燃料はすぐに尽きてしまう。
きみの美しさ、きみを成すすべての部分は、
永遠不滅の天球である。
きみの中にいつまでも留まることはできないけれど、
きみを捉えていた熱病は、僕の心そのもの。
たとえ一時間であっても、きみの所有者でありたい、
きみ以外のすべてのものを永遠に所有するよりも。
【訳注】
原題:’A Fever’
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