17 臨 終 ジョン・ダンの部屋

 

さあ、さあ、これを最後の嘆きのキッスとし、

二人の魂を吸って、ともに露となって消えてしまおう。

きみの幽霊はあちらへ、僕はこちらに行く。

僕たちの最高に幸せだった日に夜の帳を降ろそう。

僕たちは愛し合うのに誰の許可も求めはしなかった。誰にも

遠慮なく、死など気安く、さらばと言おう。

 

さらば、という言葉できみが死なないのなら、

死ねと言って、僕を楽にさせてくれ。

その言葉に効き目があれば、僕にも効いて、

人殺しに対して同じ務めを果たすだろう。

だが、僕を殺すのはもう手遅れだ、 

別れた時と、さらばと言った時、僕は二度死んでいるから。

 

【訳注】

原題:’The Expiration’

ダンの最初に印刷された詩。アルフォンソ・フェラボスコ(c.1575-1628)の世俗歌曲集『エア』(1609)の音楽と一緒に出版された。

 

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩