15 夢 ジョン・ダンの部屋

 

愛する人よ、きみをおいてほかにはいない、

この幸せな夢を破って欲しいと思う人は。

空想にしては

あまりに強烈で、理性を必要とするものだった。

だから、きみは折り良く僕を目覚めさせてくれた。しかも、

きみは僕の夢をこわしたのではなく、続けてくれたのだ。

きみは真実そのものであり、きみのことを思えば、

夢もまた真実となり、おとぎ話も実話となる。

この腕の中にお入り。きみは夢を夢で終わらせないことが

最善だと思っているのだから、あとは一緒に演じよう。

 

僕の目を覚まさせたのは、きみの物音ではなく、

稲妻のような、蝋燭の明かりのような、きみの瞳なのだ。

正直に言えば、

(きみは真実を愛すので)きみを目にしたとき、天使かと思った。

僕の目を見て、きみは僕の心を読みとった上に、

僕の考えていることまで知り、その技は天使をも凌いだ。

僕が何を夢に見ているか知っており、僕が喜びのあまり、

いつ目を覚ますかも分かっていて、きみは現れた。

きみ以外のほかのことを考えることは、

きみを冒涜することでしかないと言おう。

 

ここに来てそばにいたのは確かにきみだと思ったが、

起き上がって行ってしまうと僕は疑いを抱く。今のは、

きみではなかったのかと。

恐怖が勝れば、愛とはもろいもの。

愛が、恐怖や、羞恥や、名誉などの混合体であれば、

純粋で、立派な、全身全霊の愛とは言えない。

火をつけやすくするために、一旦火を消して

松明を用意するように、きみは僕を扱う。

火をつけるために来たのは、あとで燃え立たせるため。だから僕は、

その希望を抱いてまた夢を見よう、そうでなければ死んだ方がましだ。

 

 

【訳注】

原題:’The Dream’

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩