愛する人よ、きみをおいてほかにはいない、
この幸せな夢を破って欲しいと思う人は。
空想にしては
あまりに強烈で、理性を必要とするものだった。
だから、きみは折り良く僕を目覚めさせてくれた。しかも、
きみは僕の夢をこわしたのではなく、続けてくれたのだ。
きみは真実そのものであり、きみのことを思えば、
夢もまた真実となり、おとぎ話も実話となる。
この腕の中にお入り。きみは夢を夢で終わらせないことが
最善だと思っているのだから、あとは一緒に演じよう。
僕の目を覚まさせたのは、きみの物音ではなく、
稲妻のような、蝋燭の明かりのような、きみの瞳なのだ。
正直に言えば、
(きみは真実を愛すので)きみを目にしたとき、天使かと思った。
僕の目を見て、きみは僕の心を読みとった上に、
僕の考えていることまで知り、その技は天使をも凌いだ。
僕が何を夢に見ているか知っており、僕が喜びのあまり、
いつ目を覚ますかも分かっていて、きみは現れた。
きみ以外のほかのことを考えることは、
きみを冒涜することでしかないと言おう。
ここに来てそばにいたのは確かにきみだと思ったが、
起き上がって行ってしまうと僕は疑いを抱く。今のは、
きみではなかったのかと。
恐怖が勝れば、愛とはもろいもの。
愛が、恐怖や、羞恥や、名誉などの混合体であれば、
純粋で、立派な、全身全霊の愛とは言えない。
火をつけやすくするために、一旦火を消して
松明を用意するように、きみは僕を扱う。
火をつけるために来たのは、あとで燃え立たせるため。だから僕は、
その希望を抱いてまた夢を見よう、そうでなければ死んだ方がましだ。
【訳注】
原題:’The Dream’
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