11 制限された愛 ジョン・ダンの部屋

 

昔も今も、恋などに値しない男が、

嘘つきで、弱虫なため、

自分の苦痛や恥を和らげようと思ってか、

自分の怒りを腹いせに女性全体にぶつけようと、

一つの法律を作り上げたのがこれ、

一人の女は一人の男と交わるべし。

それってほかの動物も同じかしら?

 

気の向くままに微笑み、光を投げ与えることを、

太陽や、月や、星は、法律で禁じられているかしら?

一晩、夫や妻のもとを離れて外泊したからといって、

小鳥たちは、離婚されたり、叱られたりするかしら?

動物たちは恋人を替えても

共有財産を失うことはないわ。

でも私たちって、動物より惨め。

 

美しく艤装した船を港に停泊させたまま、

新大陸にも出かけず、交易もしない人などいるかしら?

立派な邸宅を建て、庭木を植え、四阿(あずまや)を作っておきながら、

鍵をかけたまま何もせず、朽ち果てるに任せるかしら。

いいものもいいとは言えないわ、

大勢の人がそれを所有しなくては。

欲で独占すれば無駄になるだけよ。

 

 

【訳注】

原題:’Confined Love’

「夜明け」の詩と同じく、女性の口から語られる詩。

 

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ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩