あなたのお名前は、立派な遺産、
ベタニヤ(注:1)と寡婦遺産のマグダラ(注:2)を所有したかの女性と同じです。
活発な信仰が彼女を強く突き動かし、
彼女は教会が知り得た以上のこと、すなわちイエスの
復活に気付きました。あまりにも多くの幸福が
彼女からもたらされたので、幾人かの神父たちは、
一人の女性ができることではないと信じようとしませんでした。
しかし、このマグダレンという女性が二人、もしくは三人いると考えて下さい。
奥方様、その数と名声を増やし、
彼女たちの信仰に、あなたの清い心を加えて下さい。
その名と同じく、彼女たちを手本にして下さい。
彼女の人生の後半(注:3)に見習って下さい。彼女たちが、
キリストを客人として迎え入れたその返礼に、
彼の御名を讃えるこれらの賛美歌をお納め下さい。
【訳注】
書簡詩の形式であるが、現代の多くの編纂者は、宗教詩の中に入れている。
初出は1670年のウォルトンの『ジョージ・ハーバートの伝記』で、その中でウォルトンは、1607年7月のダンからハーバート夫人宛の手紙とともに、この詩を『聖なる賛歌とソネット』に添えたものであると述べているが、グリアソンは『冠』の一連のソネットに添えたものであると推測している。
注:1 ベタニヤは、エルサレムの東オリブ山のふもとの村で、新約聖書ではマリア、マルタ、ラザロの姉妹と弟が住んでいて、イエスはエルサレムにおける最後の時にしばしばここに滞在した。
注:2 「寡婦遺産のマグダラ」とは、西方教会では伝統的にマグダラのマリアの家族がマグダラとベタニヤの広大な領地を所有し、マリアはその相続人の一人であった。寡婦遺産は夫の死後妻に送られる財産で、ハーバート夫人は、最初の夫が1599年に亡くなったとき、ハーバート家のモンゴメリー城の使用権を残された。
注:3 「彼女の人生の後半」とは、マグダラのマリアはイエスに病気を癒されて信者となり、イエスの処刑・埋葬・復活に立ち会ったことを表わす。
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