父なる神への賛歌 ジョン・ダンの部屋

 

T

私の初めの罪注:1を、あなたは許して下さるだろうか。

それは私の罪であっても、はるか昔の罪である。

私が走り抜けて犯した罪、いつも後悔しながら、今もなお、

走りながら犯している罪を、許して下さるだろうか。

あなたが許されても、私が許されることはない。

なぜなら、私にはもっと多くの罪があるから。(注:2)

 

U

私の罪を入り口にして、私が他の者たちに犯させた

罪を、あなたは許して下さるだろうか。

私が一、二年前には避けてきたが、二十年もふけってきた

罪を、あなたは許して下さるだろうか。

あなたが許されても、私が許されることはない。

なぜなら、私にはもっと多くの罪があるから。

 

V

私が最後の糸を紡ぎ終えた時には、此の岸で

死に絶えてしまうのではないかと恐れている。

あなたご自身にかけて誓って下さい、私が死ぬ時には、あなたの御子が

いま輝いているように、これからも輝き続けると。

そうすれば、あなたが為されることで、私は許され、

恐れるものはもう何もないから。

 

 

【訳注】

ウォルトンは、『ダンの伝記』の初版(1640)にこの詩を載せており、ダンが重病であった時、1623年の作品としている。この詩は、出版された作品とは別の原詩がある。この詩にはダンに依頼されて、ジョン・ヒルトンが曲を付けている。

 

注:1 「初めの罪」、「はるか昔の罪」は、原罪を意味している。

注:2 原詩には、ダンの名前(Done)と妻のアン・モア(More)の名前が組み込まれている。翻訳には「私が」と「もっと多くの」として訳した。

 

 

ページトップへ

 
 
   
ジョン・ダン全詩集訳 宗教詩