ご覧下さい閣下、太陽の熱い男性的な炎が、
ナイルの泥土に不思議な生き物を産み出すように、
父親であってなお元気旺盛なあなたの詩が、私の中で
(これらの歌がその成果です)同じ働きをしました。
しかし、これらの歌を産み出した生命力は
十分に強く、また自然の女神も
一度に七篇産み出すのを許してくれましたが、私は
六篇だけを送ります。七番目はいまだ未熟です。
私はあなたの判断力を仰ぎたいと思います。あなたの判断力は、
その妹であるあなたの創造力とともに、
火のように、これらの不純物の詩を純化し、
或いは、錬金術液のように、黄金に変えてくれます。
あなたはいつでも智恵が働く錬金術師であり、
その一つの火花で、悪いものもよいものに変えることができます。
【訳注】
書簡詩の形式であるが、現代の編纂者の多くは『宗教詩』の中の1篇として収める。
DのEが誰であるのか、また6つのソネットがどれであるのかは分かっていない。
1618年にジェイムズ一世からドンカスター子爵(伯爵ではなく)の称号を受けたドンカスター伯爵だとする説(A.B.グロサート)や、1609年に19歳で称号を受け継いだドーセット伯爵とする説(グリヤソン)などがある。
6篇の聖なるソネットについては、『冠』の中の6篇だとする説や、『神に捧げる瞑想』の中の6篇だとする説などがある。
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