僕が愛すのは、実物の彼女より心に描いた彼女だ、
僕の忠実な心の中に宿るその美しい姿は、
彼女のメダルとなって、彼女に僕を愛させるのだ。
それは、自分の肖像を刻印して価値を与えてはその貨幣を
王様が愛するようなもの。さあ、ここから僕の心を連れ出してくれ。
僕の心は、あまりに大きく立派になり過ぎた。
名誉は弱い心には重すぎる、それに強い刺激物は
感覚を鈍らせ、見れば見るほど見えなくなる。
君が行ってしまえば、理性も君とともに去る、
そうなれば、空想が女王となり、魂となり、すべてとなる。
空想は君よりほどよい悦びを与えてくれる、
手ごろで、それにもっと調和のとれた悦びを。
君と一緒にいる夢を見れば、僕は君とともにあるのだ、
だって、僕たちの悦びはみな空想に過ぎないのだから。
苦痛から空想で逃れるのは、苦痛こそ現実のものだから、
感覚を閉じる眠りは、すべてを閉め出してしまう。
このように望みを達した後、僕は目覚める、
目覚めたことの悔い以外、ほかに何も悔いはない。
そうして、名声や、涙や、苦痛のために費やした時よりも多く、
愛のために、感謝の気持を込めたソネットの数々を作るだろう。
だが、愛する心よ、愛する姿よ、ここにいてくれ、
悲しいことには、真(まこと)の悦びは、せいぜい夢に過ぎないのだ。
君はここにいてもたちまち消えてしまう、
なぜなら、人生の蝋燭は、端(はな)から燃えさしに過ぎないのだから。
彼女への愛でいっぱいで心が狂ったようになろうとも
何の感覚もない白痴になるよりはましなのだ。
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