高木登 観劇日記2021年別館 目次ページへ
 
    加藤健一事務所公演 『サンシャイン・ボーイズ』          No. 2024-003

 2022年3月に本多劇場で上演され、主演の加藤健一が第64回毎日芸術賞、佐藤B作が第47回菊田一夫演劇賞を受賞し、ダブル受賞となった『サンシャイン・ボーイズ』。
 2023年9月に倉敷に始まる全国ツアーは、11月には今回の能登大地震で大きな被害を受けた七尾市で公演し、この東京公演の後にも京都、奈良、神戸、和歌山と2月まで続く。
 加藤健一事務所公演は大体全部観るようにしているのだが、2022年の公演は残念ながら観劇していなかった。
 今回の東京公演は初日に観劇。
終演後の挨拶で加藤健一が、公演の初日はまだ劇が十分にできあがっていないという思い込みから入りが少ない(この公演の初演当日は見渡したところ満席状態であった)ので何か新しい工夫を、と考えていたところ大塚製薬からドリンク・ボトルのサービス、そして開場時に番号札をもらい、終演後に抽選会で景品がドリンクの半ダースや24本入りケースの提供があった。自分は残念ながら、ハズレ。
 加藤健一の喜劇は、なまじっか内容を記してもその面白さを伝えることは難しいので、ここでは詳細の記録は省くが、物語は、今は落ちぶれた往年のヴォードヴィルの大スターコンビだったウィリー・クラーク(加藤健一)とその相方、アル・ルイス(佐藤B作)を中心にした喜劇。
 アルは芸能界から引退しているが、ウィリーは甥のベン・シルバーマン(加藤義宗)をマネージャーとして、出演の機会を待っている。
 テレビ局が芸能界の50年史を企画し、往年の大スターの二人にその出演の依頼がくるが、ウィリーは11年前突然コンビを解消したアルとの共演を、心中やりたい気持ちでいっぱいなのに拒否するものの、結局やることとなる。
 この劇の見どころは、その二人を演じる加藤健一と佐藤B作の、絶妙な心理的なやり取りと間合いの取り方にある。
 最後のオチは、この二人が別々の事情で同じ老人ホームに入ることになるところで終る。
 出演は、1場の主要な登場人物に加えて、2場で、コントの患者に照屋実、同じくコントのナースに韓祐華、アシスタントディレクターのエディに佐野匡俊、声の出演に、ディレクターのフィル・シェーファーに清水明彦とアナウンサーに加藤忍。
 上演時間は、途中15分間の休憩をはさんで、2時間30分。


作/ニール・サイモン、訳/小田島恒志・小田島則子、演出/堤泰之、美術/乗峯雅寛
1月24日(水)14時開演、下北沢・本多劇場、チケット:5500円、座席:I列21番

 

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