高木登 観劇日記2020年 トップページへ
 
   REBORNプロデュース・4 『アリス・夏』         No. 2020-007
 

 『アリス』はREBORN(前タイプス・プロデュース)のシリーズ作品の一つで、これまでにも何度も上演されてきており、自分が観たのは2015年8月、同じく座・高円寺2で公演されたものが初めてで今回が2度目となるが、時間が許せばこのシリーズの変遷を出来るだけすべて楽しみたいものだと改めて思った。
 ルイス・キャロルの原作『不思議の国のアリス』を骨格にした構成は変らないが、少しずつ変化を持たせている。
 観るのは今回が二度目でしかないが、最初に観た内容と観劇日記で比較すると、2015年では詩人(新本一真)の登場と、とアリスの先生役としてルイス・キャロル(武田光太郎)を登場させているのが大きく異なっている。
 詩人として登場した新本一真がどんな詩を朗読したか日記に記していないので不明なのが残念だが、今回詩人の登場はなく、ハートのクイーンを演じる君島久子が金子みすゞの「女王さま」を劇中朗読する。
この劇中での詩の朗読の挿入はシリーズ化されているのか、関心のある所である。
 アリスの先生には、今回はキャロルではなく女教師として石田柚香利が演じた。
 ヒロインのアリスもシリーズごとに出演者が変わっているのではないかと思うが、今回は来瞳舞夢が演じている。
 前回の内容の詳細を記録していないので今回との違いは分からないが、ムンスが演じるハートのジャックが、女王に対してクーデターを起こしそうになったとき、登場人物たちの台詞が政治的な感じを与えるものであったことに多少驚きをもって注目した。
 2015年の登場人物とその呼称について今回と比較してみると、中心になるアリス、ハートのクイーン、キング、ジャックは名称も変わらず、しろうさぎのピーター、トランプ兵のクラブ、スペード、ダイア、やまねのスリッパ―、すずめのチュン、帽子屋ハッターも変わらず、うみがめがタッくんからムォーに、三月うさぎのホットケーキが夏うさぎのホットケーキに、あおむしモクが女優から男優に変って呼び名なし、チェシャ猫チェーシャも今回は名無し、あまがえるピコがケロに名前変更されていた。
 このような微妙な変化を見届けるためにも今後は許される限り、このシリーズを見続けて行きたいと思っている。
 上演時間は、2015年版が2時間であったのに対し、今回は途中休憩10分を挟んで100分であった。


原作/『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル、台本構成・演出/パク・バンイル
8月29日(土)13時開演、座・高円寺2、料金:5000円、座席:J6


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