高木登 観劇日記2019年 トップページへ
 
    グローブ文芸朗読会 ディケンズ・シアター
    『セント・ニコラスの話』 &『ヨークシアの学校』       
No. 2019-034
 

『セント・ニコラスの話』

 作/エリナー・ファージョン
 翻訳/中村妙子
 朗読/白井真木
 サンタクロースの起源には各地でいろいろあるが、イギリスの児童文学作家エリナー・ファージョンによる『セント・ニコラス』の物語の元になっている話はウィキペディアによると、
<ニコラオスは小アジアのローマ帝国リュキア属州のパタラの町に生まれた。
叔父のパタルの主教ニコラオス(甥と同名)は甥に徳行の基を見出し、ニコラオスの父母を説いて幼い頃から教会に従事させた。 司祭であった時には、かつて豪商であったが財産を失い貧しくなったために娘を売春させなければならないところであった商人の家に、夜中に窓(あるいは煙突とも)から密かに2度、多額の金を投げ入れた。このため持参金も用意して娘達は正式な結婚を行なうことができた。父親は大変喜び、誰が金を投げ入れたのかを知ろうとして見張った。すると3度目に金を投げ入れているニコラオスを見つけたので、父親は足下にひれ伏して涙を流して感謝した。 >
 ファージョンの物語では、ニコラスは莫大な財産を相続した普通の市民で、極貧の没落貴族が明日の食糧の為に3人の娘の長女を奴隷に売らなければならないその前夜、何者かが袋に入った金貨を投げ入れ、長女は愛する恋人と結婚することができる。しかし、次女を奴隷に売らなければならない前夜、同じことが起こって次女も恋人と無事結婚できる。三女も同じ運命にあるとき、その貴族は何者がお金を投げ入れているのか物陰に隠れてついにニコラスであることが判明するが、ニコラスは秘密を守るように頼む。しかし、娘たちの執拗な追及で父親は遂に白状してしまい、いつしか町中に知れ渡ってしまう。
 白井真木の朗読で心温まる気持で聴き入ることが出来た。
 朗読時間は、20分。

 

『ヨークシアの学校』-『ニコラス・ニクルビー』より

作・チャールズ・ディケンズ
翻訳/荒井良雄
朗読/佐藤 昇
2012年にチャールズ・ディケンズの公開朗読台本21作品を全作完読させた佐藤昇のライフワーク、ディケンズの朗読は、今回、久しぶりに故荒井良雄訳による『ヨークシアの学校』。佐藤にとってこの作品は2度目の朗読というが、話の内容は自分にとって既知のもので、なぜ知っているのか自分でも不思議であった。
稽古では1時間半にも及ぶ長さであったということであったが、今回の朗読では1時間に切り詰めたということであった。
ヨークシアの教師ニコラスの未来は、先行きが明るいのかどうか、疑問を残したまま終わるところが心に残る作品であるが、ディケンズの小説の物語性の面白さと、ディケンズの朗読に関しては第一人者としての佐藤の朗読を心ゆくまで味あわせてもらった。

 

12月1日(日)14時開演、阿佐ヶ谷ワークショップ、チケット:2000円

 

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